以前、『EXECUTION』(Bossidy、Charan)『The Knouwing -Doing Gap』(Pfeffer、Sutton)を読んで、実行の重要性は理解していたが、経営に携わると具体的方法に関する情報がほしくなった。
Execution: The Discipline of Getting Things Done
The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action
ユニ・チャームは、1961年に四国・愛媛の建材メーカとして創業され、創業48年で、売上3478億円、営業利益率10%、従業員7000人に成長した。そのユニチャームのマネジメントについて書かれた本が『ユニチャームSASPS経営の原点』である。難しいことは書いていないが、戦略・方針を徹底・実行するにはどうしたらよいかを知るのに少なからぬヒントがある。
The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action
ユニ・チャームは、1961年に四国・愛媛の建材メーカとして創業され、創業48年で、売上3478億円、営業利益率10%、従業員7000人に成長した。そのユニチャームのマネジメントについて書かれた本が『ユニチャームSASPS経営の原点』である。難しいことは書いていないが、戦略・方針を徹底・実行するにはどうしたらよいかを知るのに少なからぬヒントがある。
SAPSは
・S:Schedule:「思考」と「行動」のスケジュール立てること。
・A:Action:計画通り実行すること。
・P:Performance:効果を測定し、反省点・改善点を抽出すること。
・S:Schedule:今週の反省を生かして次週の計画を立てること。
の略で、
①最優先課題に集中する。
②真因を突き止める。
③自己流を排除する。
④実行の仕組みを定着させる。
を特徴とする。
端的に言えば、トヨタ生産方式を法人営業領域に適用したような感じである。
トヨタ生産方式、P&G、BCGに学び、自社は完璧でなく日々成長していかなければならないという謙虚さをもった「すごい企業」という感じがする。
SAPSの説明として、まず、ユニ・チャーム・ペットケアの建て直しの実話から始まる。
営業の現場では、売上目標を達成するため、押し込み営業、そのための販促費ということで営業部門は荒廃し、疲弊していた。売上計上は出荷時、販売促進費計上は支払い時という月次決算マジックの下で、当月目標達成率のみが営業の目的と化していたようだ。
この状態に対し、売上という販売目標を捨てて、行動目標(訪問件数等)によるマネジメントに変えていった。この行動目標によるマネジメントは特徴の一つである。
通常自己革新を行うには、意識革新⇒行動革新⇒能力革新⇒習慣革新のステップで行うが、SAPSでは、行動革新⇒意識革新⇒能力革新⇒習慣革新と行動革新を重視する。行動を変えることがすべての始まりと考えるようだ。そのために行動を管理する行動基準を作り、自己流を排除して「定石」で調整し、全員で達成感を共有することを実践している。
行動基準には、○、×でできばえを判定できることを求めており、数量的な基準があればなよい。
SAPSの方法論からはずれるが、経営マネジメントの観点から需要な点として、利益を最大化するためには、受注・生産の平準化の重視性を説く。それを管理するためのツールとして、日々の累積売上を45度線管理をあげている。
経営者は、「うぬぼれ」「おごり」「甘え」「マンネリ」に対して注意すべしと説く。
変化への対応スピードを重視し、それを以下のOODAループとして整理している。
・O:observe:情報を収集する。
・O:orientation:収集した情報の意味を考える。
・D:decision:これからどうやって戦うのかを決める。
・A:action:実際の行動に移す。
O(状況判断)とD(意思決定)の速さにより、対応スピードに差がつく。
業績を出すには、上位20%、60%、下位20%のうちの上位20%のパフォーマンスをあげることを考えるのではなく、下位20%のお荷物社員のやる気を引き上げることが必要と説く。
少し違和感もあるが、SAPSの標準化は下位20%を対象にしているように分かりやすく標準化にもい適している。
経営者は、最優先課題(1P)を見出し、社員が納得するまで情報発信しつづけ、全社員のベクトルを決定付けることが必要でとのこと。
マネジメントの仕組みについても、作ることよりも定着させることのほうが重要と実行性重視であrる。仕組みが定着したという言葉を使っている間はまだまだで、「この仕組みが定着したから業績が伸びた。」までいけと言っている。
SAPSマネジメントモデルは、以下の4つのツールを活用する。
①OGISM:Objective Goal Issues Strategies Measures
緊急性と重要性で課題の優先順位付けを行う。
主題の現状分析⇒環境変化予測⇒リスクトチャ
ンス⇒達成目標の明示
達成目標の日程化⇒解決すべき宿題の明示⇒
課題解決のための推奨戦略⇒判定基準の明示
②1Pローリング表:最優先事項行動表
OGISMに記述した「課題」を解決するための行
動計画のこと。
半期の重点を今月の重点に落としこみ、それを
1Pローリングで今週の重点に落としこみ、さら
にそれを「SAPS週報」で日々の実行計画に落
とし込んでいく。
(1)問題の発見と形成:先週の問題の明確化⇒
問題の証拠を挙げる
(2)原因分析:できなかった原因を探る⇒核心
的原因を突き止める
(3)意思決定:対策の目的の明確化⇒代替案
検討⇒今月対策の選択
(4)実行:今週の対策の実施⇒結果を確かめる
*できたことは書かない。営業日報は「できたこと」ばかり
書く傾向がある。できなかったことを書き、できるように
するための対策を考える。
五面等価の原則」:権限・義務・責任+能力・評価
③SAP週報:1Pローリング表で導き出された「今週の重点」に
ついて今週のアクション計画を書く。
行動スケジュールに落とし込まれ、売るべき商品、
訪問すべき営業先が書かれていることが不可欠。
④週次SASPS営業会議:今週の活動結果を確認し、次週の
重点を周りの人たちと共有し、徹底するための場。
各人のパフォーマンスを全員でチエックする。
私は、最近失敗事例の原因分析にエネルギーを掛けるよりも、成功事例の横展開にエネルギーをかけたほうがよいと感じ始めている。同じ考えは「ソリュ-ション フォーカス」とも言うようである。
それに関して、この本では以下の理由で同じ結論を言っている。
初心者やローレベルの人にとっては、失敗の原因は無数にあって、とても特定できず、また直さなければならないことも無数にある。それならば、成功体験を学んで展開したほうが、次の成功につながりやすい。
SAPS導入で実施してはいけないこととして以下をあげている。
①以前のしくみに足し算ではなく、以前の仕組みを廃止する。
②行動基準のない行動管理をしては駄目。
③実行の仕組みなしにプランだけ書かせるのは駄目。
④コミュニケーション不足のまま週次SAPS会議を実施しては駄目。
下位20%の社員徹底できることを狙っているだけあり、SAPSの中身は具体的であり、
実行徹底に大変有効なものと思う。
現在読んでいる『TOYOTA KATA』とも共通なものがある。
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