2012年3月30日金曜日

ユーザエクスペリエンスバリュー

ゲーミフィケーションを題材にあるコラムを書こうとして、
論理展開していたら、今のITに求められているのは、
ITを使っている時の楽しさ、その時間の価値を高く
することではないかとの結論に達した。

そのコラムは、一般向けには面白くないだろうとのことで
没にしたので、その論拠を少し参考のために残しておく。

1.論理1:「クラウド」⇒「BYOD」⇒「ユーザエクスペリエンスバリュー」

クラウドが進展すると、データ等はDCにあるので、利用者は一つの端末
からいろんな処理を行いたくなる。セキュリティの問題さえ解決できれば
私物のタブレッット、スマホからそこにアクセスしたくなる。
このBYOD「Bring Your Own Device」は自然
の流れだと思う。
利用者は、プライベートで使っているコンシューマ向けのシステム
(たとえばGoogle、Facebook)と同様の使い勝手を、
会社の業務システム(はじめはワークフロー・BIからスタートするが
徐々にCRM、販売管理等へも発展)にも同等の高い操作性を要求するように
なる。
既に製薬企業のMRが使うシステムは、操作性が勝負となっている。

今後求められる操作性は、業務個別の流れではなく、利用する場面で
どのように情報を取得活用できるか、さらにはシステムを使って個人
がどれだけの効用(快適性、有用性等)(ユーザエクシペリエンスバリュー)
を得られるかが重要になってくる。
「ITを活用した業務」を設計する場合には、このような観点が今後
必須になると思う。

2.論理2: 「GAMIFICATION」
           ⊂「ユーザエクスペリエンスバリュー」
この「ユーザエクスペリエンスバリュー」という言葉は、マーケッティング
で活用される「経験価値」と同じ概念で、商品やサービスそのものの価値で
はなく、実際に顧客がそれらを利用した経験によって得られる価値、すな
わち満足や効用を表す。システムを操作(利用)することによって効用(ユーザエ
クスペリエンスバリュー)を得るということを実現するには、操作して得られる
情報が有益で楽しいだけでなく、操作することに何か楽しさが必要ではないか
と思う。その操作することに楽しさを作る出すのが、GAMIFICATION
の考え方ではないだろうか。
GAMIFICATIONからの知見で、はまるゲームは以下の特徴を持つという。

①徐々に鍵を開ける(アンロック)感じのように難易度を徐々に上
 げて、ほどよい挑戦の感覚を作る。
②達成度合いのフィードバックを短く、明示的にする。フィード
 バックに音楽や映像を活用する。
③達成度合いに応じて認定する。バッジ等を与える。
④やや難しい状況とやや簡単な状況を交互に繰り返すルーティン
 を入れる。
⑤競争相手の状況や競争状況(ランキング等)をタイムリーにフィ
 ードバックする。
学習やマネジメントにもかなり適用できる考えで、なるほどと思う。

ユーザエクスペリエンスバリューを上げるためには、具体的には
上記のような考えを取り入れていくことが大変有用と思う。

コンシューマが利用するシステムでは、大変わかりやすいが、今後の
ビジネスシステムにも求められる考えである。ビジネスシステムの
場合、BIですでに一部提供されているように、見るべき情報を
本人の解明向上心を刺激しながらコンテンツをナビゲートしていく
ことようなことが考えられる。

人間の意思決定の領域がバーチャルの世界で大きくなってきており、
人間の心理に対する知見が今後ますます求めれるものと思う。
また、ログが残るのでBIG DATAで定量的な検証も容易に
できるようになる。
その参考書として以下を利用している。

2012年3月16日金曜日

ゲーミフィケーション

人は何を求めて行動するのか、その前提となる意思決定の
メカニズムはどうなっているのかについて最近関心を持っ
ている。経済学では行動経済学や経済心理学といわれる
領域である。
現在の情報社会においては、多くの人は、リアル空間
での行動だけでなく、サイバー空間での行動・意思決定
が多くなってきている。そのサイバー空間で行動・意思
決定の傾向性がよく出るものがゲーム、最近は特にソーシ
アルゲームであり、人間を引き込む知見も蓄積されてきて
いる。
企業情報システムにおいても、スマートホン・タブレット
の普及により、利用場面が日とがるとともに、定型的な
システム利用だけでなく、営業系の情報システムと情報系
の情報システムに画像を多量に活用したインタラクティブ
なユーザエクスペリエンスが求められるようになってきている。
2011年8月に、ITの調査会社であるガートナー社が、
今後注目すべき技術として「ゲーミフケーション」を挙げた。
ゲーミフケーションとは「ゲームの考え方はデザイン・メカ
ニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービス
に利用することと定義している。

上記の背景で、
『ゲーミフィケーション「ゲームがビジネスを変える」』
を読んだ。

まずは参考になるところのみ読書ノートとして残しておく。
今後ゲーミフィケーションの人を引き込むTIPSを、行動
経済学のフレームワークで整理して行きたいと思っている。

1. ゲーミフィケーションの実戦
(STEP1):着想
着想をする観点は、以下の2つの場合に分けられる。
① すでに存在している顧客等の行動に、関係性の強化のため
  ゲーミフィケーションの視点を追加する。
② ゲーミフィケーションの視点で顧客等を引き込む仕組みを
  考え、それを活用した新しいビジネスモデルを考える。

前者である①で考えていく場合、以下に留意する。
◇顧客との関係性強化、サービスの継続性をあげるにはどうするか。
◇フィードバックバックをより明示的にできる活動があるか。
 またそのフィードバックはコンピュータによって自動的に応答
 を帰すことができるか。
 定量的に計測することが可能な仕組みはあるか。


◇ハマル行動の分析
 顧客とのインタラクションのプロセスを分解し、お客様がハマル
 行動を分析する。

後者である②で考えていく場合、以下に留意する。
ゲーミフィケーションを活用した新しいビジネスモデルとして、
バッジヴィル社やフォースクエアなどの企業がある。
バッジヴィル社や位置情報サービスのフォースクエア社がる。
◇技術の変化:センサの低コスト化、スマートフォンの性能向上に
 着目する。
◇ルールを改良する:
◇ルールを融合する
◇ビジネスモデルから考える

(STEP2):作り上げる
以下の手順で作り上げる。
①プレイヤが、ゲームを楽しむ順序の設計をする。以下に留意。
◇アンロック:かけられた鍵をひとつづつ開錠していく。
       順序を追ってできることや情報が提示されること
       により、プレイヤーは何をすればいいかを迷うこと
       なくゲームを楽しむことができる。
       しかも「義務」ではなく「獲得」として演出する
       ことにより、プレイヤーは徐々に自分が強くなって
       いったかのような感覚を持つ。
◇ レベルデザイン:プレイヤーの自発性を損なわずにゲームの
       難易度を上げていく。
    ・ゲームのメカニクスを設計する。
     MDA(メカニクス、ダイナミクス、エスセテッィクス)
    ・ランキングの導入
    ランキングは、その表示する範囲を狭めたり、広めたり
    することで大きく役割を変える。
    ・ お金の力を持ち込む。
    ・クイズを出題する。
    ・強制する。

ゲーミフィケーションの様々な手法を整理すると以下のとおり。
<1>ほどよい挑戦の感覚を作るしくみ
  ◇アンロック、◇レベルデザイン、◇難易度の自動調整
<2>フィードバックをより強く演出する仕組み
  ◇フィードバックを短くする、◇フィードバックの明示化、
  ◇錯覚的演出
<3>フィードバックのバリエーション
  ◇緩急効果:やや難しい状況とやや簡単な状況を交互に繰
   り返す仕組み
  ◇音楽や映像のバリエーションの追加
<4>イベントの開催
  ◇定期的に時期限定イベントの開催
<5>メカニクスの調整
  ◇「ズル」の応用、「ズル」の阻止

<STEP3> 洗練


以上

社会の仕組みやマネジメントの中にゲーミフィケーションの考えを
取り込んでいけば、いやいややることに面白みを追加できるように
思う。
行動経済学の考え方にゲーミフィケーションの考え方をミックスすれば
本当に現実的なマネジメントの仕組みを作ることができるように思う。