2011年9月3日土曜日
Getting to PLAN B
新規ビジネスを成功させるにはどうすればよいかを、ケーススタディを通して分析し、整理した本である。
最近あるパッケージビジネスの立ち上げに苦労しているところもあり、大変興味深く読むことが
できた。著者二人は、スタンフォード大学で新規ビジネスを担当しているビジネススクールの教授
とロンドン大学で同じく新規ビジネスを担当しているビジネススクールの教授で、多くの事例から
成功のための法則を導き出している。
その法則とは当初策定したビジネスプラン「PLAN A]」は使い物にならないものが多いが、それであきら
めるのでなく、以下に述べる観点で「PLAN B」に移行すべきと説く。観点や実施ステップは目新
しいものではないが、実行が勝負と思うと納得がいく。
アップルのTunes/iPod/iPhone、グーグル、イーベイ、ライアンエア、スカイプ、アマゾンがケース
スタディとして取り上げられており、それぞれの事業の「PLAN A」がどのようなものであり、どの
ような観点で何を参考に改善が行われてきたかがわかり、興味深く読めます。
『Getting to PLAN B』
「PLAN A」の失敗事例だけでなく、始めから成功したトヨタのレクサス高級路線、コストコの会員制モデル、ザラの
高速ファッションモデル等ビジネスモデルのどこが優れているかについても書かれており、ビジネスを成功させるポイ
ントも参考になります。多くの面白いケーススタディが出てきますが、結論としては当初立案したビジネス計画「PLAN A」
を、以下のビジネスモデルの五要素に着目し、
①収入
誰が買ってくれるのか、何に対価を払ってくれるのか、なぜ買ってくれるのか、頻度、量、値段はどうか。
②粗利、
原価をどこまで下がられるか、どこまでの価格なら受け入れられか、稼ぐ製品と見筋製品のミックスをどうするか。
③運営(営業費)
事業成長のために使わざるを得ない営業費目、売上比例費目、削減可能な費目は何か、どこまで削減できるか。
④運転資金、
顧客の支払タイミング、早期化の可能性(会費制等)、取引先への支払タイミングを延ばせるか、必要在庫等期間
は。
⑤投資
立ち上げまでの投資を最小化(段階的投資、既存設備流用等)をどう実現するか。
<ステップ1>
Analog(類似事例)、と ②Antilog(反例)を を見つけ出し、それらを謙虚に分析し、
<ステップ2>
成功の要因と信ずるもの、賭けてみたいアイデア(Leaps of Faith)を整理し
<ステップ3>
それを検証する仮説や手法を考え、
<ステップ4>
「Dashboard」(仮説に対応するKPIの結果管理とフィードバック)で 検証あるいは反証し、
これらのステップを繰りかしえ、「PLAN B」を作成すべきと言っています。
これらを実行できるかどうかが、事業を成功させることができるか、失敗のまま終わるのかを決定する
とのことです。うまく行っているビジネスモデルは、これらの要素が相互に結びつき、さらなる成長軌道
に乗るとも言っています。
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