ポイントとなるシステムの技術は、XBRL(eXtensible Business Reporting Language)であり、これが今後ビジネスをどのように進化させるかについて分かりやすい事例で説明している。
XBRLを分かり易く言うと、データにタグと呼ばれる特定の文字列を附加し、そのデータの意味や構造、装飾などを埋め込んでいく技術(XML)をベースとし、、特に各種財務報告用の情報を作成・流通・利用できるように標準化された言語である。これが企業内システム、企業間システムにどのようなインパクトを与えるかについて、各国の先進事例を紹介しながら、将来展望の仮説を述べている。
XBRLの発明者である米国公認会計士と日本の金融システムのインフラ構築の長く携ってきたIT企業の技術者兼経営者により書かれており、これ以上の著者は望めないとも言える。
まず、企業情報の報告は、近代資本主義発展をリードしてきた株式会社を支えるものであるとの世界観から始まる。またサービス化や情報化されたビジネスが主流となっている現在においては、事業の内容やプロセスはどんどん目に見えぬくなっており、自分のビジネスの価値を適切に説明すること、すなわち「報告」の重要性が増してきている。
XBRLが、報告を作る人、報告を受け取る人、報告を活用する人との情報連鎖を変えていく。より透明度の高い情報が労力かけずに、作成・保管され、リアルタイムで「見える」未来がやってくるという。特に以下の事例は、XBRLのメリットが具体的によく理解できる。
◆「XBRLがあって初めてIFRSが機能する」
IFRSは、会計処理を細かく規定した細則主義でなく、基本的
考え方を示した原則主義を採用しており、個々の企業はその
会計処理の妥当性を説明する責任が増す。
そのためには背景となっている非財務情報も開示する必要が
ある。その非財務情報を投資家に活用してもらうためには、
XBRLで開示する必要性が増す。
◆「投資信託の投資先把握によるリスク分析」
報告形式の標準化によって、内部の情報処理の効率化、作成時
間の短縮をもたらす。
②受理者(例:証券取引所)人手を介さずに報告情報を受理することで、情報の漏れや誤りを
の提出フォーマットがXBRL化 東京証券取引所
◆2004年 国税庁への電子申告に際して財務諸表部分をXBRL化
◆2006年 日本銀行への銀行・信用金庫の月次報告がXBRL化。
◆2008年 有価証券報告書の電子開示システムEDINETに採用
XBRLが切り開く七つの未来として以下を挙げている。
① XBRLがIFRSの変革エンジン
原則主義によるため、合理的判断根拠の非財務情報も必要。
② 非財務情報処理革命
③ 投資判断のリアルタイム化
④ 資本市場の国際化の更なる進展
⑤ 報告情報連鎖参加者の提供価値の見直し
⑥ レポーティングの双方向化
監査法人、投資家などによる付加情報が追加され
⑦ eガバメント、eガバナンス
さらに今までは取引をしてはいけないブラックリストが重要であったが今後は
積極的に取引をすべき対象者のリストであるホワイトリストの重要性が高まるという。
つまりよい経営をしていれば、XBRLにより情報が流通し、安くお金を調達できるようになるようなことを想定している。
システム的には、データベースが閉鎖系のシステムから開放系のシステムに変わり、利用者がアクセスできるデータは全てデータベースとなり、利用者がその利用方法を設計できるようになると言う。つまり、日々生まれる大量の報告情報が、流通や活用、再利用が容易な状態でデータベース化されることにより企業内部の統制が従来よりずっと進化する。さらに経営においては、大量の報告情報を整理・抽出し、大きな意思決定行うための情報を新しい形で統合可能となるという。
XBRLがビジネスにどのようなインパクトを与えるか具体的事例で分かりやすく書いてあり、大変参考になった。特にIFRSの普及によXBRLの重要性が高まることがよく理解できた。
IFRS時代におけるXBRLを活用した企業会計システムのあるべき姿を考えることが私の課題である。
XBRLの発明者である米国公認会計士と日本の金融システムのインフラ構築の長く携ってきたIT企業の技術者兼経営者により書かれており、これ以上の著者は望めないとも言える。
まず、企業情報の報告は、近代資本主義発展をリードしてきた株式会社を支えるものであるとの世界観から始まる。またサービス化や情報化されたビジネスが主流となっている現在においては、事業の内容やプロセスはどんどん目に見えぬくなっており、自分のビジネスの価値を適切に説明すること、すなわち「報告」の重要性が増してきている。
XBRLが、報告を作る人、報告を受け取る人、報告を活用する人との情報連鎖を変えていく。より透明度の高い情報が労力かけずに、作成・保管され、リアルタイムで「見える」未来がやってくるという。特に以下の事例は、XBRLのメリットが具体的によく理解できる。
◆「XBRLがあって初めてIFRSが機能する」
IFRSは、会計処理を細かく規定した細則主義でなく、基本的
考え方を示した原則主義を採用しており、個々の企業はその
会計処理の妥当性を説明する責任が増す。
そのためには背景となっている非財務情報も開示する必要が
ある。その非財務情報を投資家に活用してもらうためには、
XBRLで開示する必要性が増す。
◆「投資信託の投資先把握によるリスク分析」
投資信託商品でその貸出先が一万件であった場合、その投資先
情報をさかのぼって個々の個々のリスク情報を読み取ることは
人間ではできないが、コンピュータでは可能となる。
ある投資信託は、個々のカリスマベンチューに依存した1万社
に江者。1万人が同時に健康上のトラブルに
に投資。もう一方の投資信託は、住宅価格に業績が連動して企業
1万社に投資。この場合、1万人のカリスマ経営者が同時に病気に
なる可能性は低いので、リスクが低いことがわかる。
投資先の1万社のデータがXBRL化されていれば、定性情報も
含めてコンピュータで簡単に分析できるので、このようなことが
可能となる。
XBRLを採用することにより、報告者、受理者、利用者に以下のメリットをもたらす。
①報告者(例:企業の財務担当者)情報をさかのぼって個々の個々のリスク情報を読み取ることは
人間ではできないが、コンピュータでは可能となる。
ある投資信託は、個々のカリスマベンチューに依存した1万社
に江者。1万人が同時に健康上のトラブルに
に投資。もう一方の投資信託は、住宅価格に業績が連動して企業
1万社に投資。この場合、1万人のカリスマ経営者が同時に病気に
なる可能性は低いので、リスクが低いことがわかる。
投資先の1万社のデータがXBRL化されていれば、定性情報も
含めてコンピュータで簡単に分析できるので、このようなことが
可能となる。
XBRLを採用することにより、報告者、受理者、利用者に以下のメリットをもたらす。
報告形式の標準化によって、内部の情報処理の効率化、作成時
間の短縮をもたらす。
②受理者(例:証券取引所)
発見する作業が劇的に削減される。
③利用者(投資家)
報告形式が標準化されるため、開示情報の他社との比較や過去と
の比較、分析など、利用力が劇的に向上する。
XBRLは、日本が先進的に採用し、普及させてきているようで、
以下のように早い段階から採用してきているようだ。
◆2003年 決算短信の一ページ目、すなわち適時開示情報の提出フォーマットがXBRL化 東京証券取引所
◆2004年 国税庁への電子申告に際して財務諸表部分をXBRL化
◆2006年 日本銀行への銀行・信用金庫の月次報告がXBRL化。
◆2008年 有価証券報告書の電子開示システムEDINETに採用
XBRLが切り開く七つの未来として以下を挙げている。
① XBRLがIFRSの変革エンジン
原則主義によるため、合理的判断根拠の非財務情報も必要。
② 非財務情報処理革命
③ 投資判断のリアルタイム化
④ 資本市場の国際化の更なる進展
⑤ 報告情報連鎖参加者の提供価値の見直し
⑥ レポーティングの双方向化
監査法人、投資家などによる付加情報が追加され
⑦ eガバメント、eガバナンス
さらに今までは取引をしてはいけないブラックリストが重要であったが今後は
積極的に取引をすべき対象者のリストであるホワイトリストの重要性が高まるという。
つまりよい経営をしていれば、XBRLにより情報が流通し、安くお金を調達できるようになるようなことを想定している。
システム的には、データベースが閉鎖系のシステムから開放系のシステムに変わり、利用者がアクセスできるデータは全てデータベースとなり、利用者がその利用方法を設計できるようになると言う。つまり、日々生まれる大量の報告情報が、流通や活用、再利用が容易な状態でデータベース化されることにより企業内部の統制が従来よりずっと進化する。さらに経営においては、大量の報告情報を整理・抽出し、大きな意思決定行うための情報を新しい形で統合可能となるという。
XBRLがビジネスにどのようなインパクトを与えるか具体的事例で分かりやすく書いてあり、大変参考になった。特にIFRSの普及によXBRLの重要性が高まることがよく理解できた。
IFRS時代におけるXBRLを活用した企業会計システムのあるべき姿を考えることが私の課題である。