IT業界にいると、スマートホン、タブレットが企業の情報シス
テムに今後大きな影響を与えることを肌で感じる。
固定利用でのクラウドは初期コストと運用コストしかメリットは
なかったが、モバイル端末での利用によってユビキタス性のメリット
が明確になる、利用者もサービスの利便性を享受できるようになった。
今後は、キャリアが、スマートホンやタブレットを提供していくこと
となり、通信サービスの提供だけでなく、ITサービスの提供者に
なっていく。
その状況をタイムリーに整理した以下の書籍が出版された。
『モバイルパワーの衝撃』(スマートフォン時代の事業モデル革命)
1.モバイルが持つ五つの特性
①本人性
②常時性
常に保有していること。
③位置の特定性
④ネットワーク性
⑤リアルへの拡張性
リアルへの拡張性は、携帯電話を通じてインターネットの世界
とリアルの世界がつながることを言っており、電子マネーや電子
クーポン、乗車券への活用のことを言っている。
2.モバイルパワー
モバイルが持つ上記の五つの特性の特性により、ビジネスに以下
のパワーが発揮出るという。
①個客の見える化
携帯電話の本人性、常磁性、位置の特定性により、商品・サービ
スの消費者は誰なのかを把握するコストが飛躍的に低下し、個を
特定した新しい事業モデルが可能となった。
(例)マクドナルドの携帯電話で受け取るクーポンサービス。
日本マクドナルドの原田社長によると、携帯電話のクーポンに
より、リアルタイム・ビジネストラッキイング/ナビゲーション
が可能になったとのこと。紙のクーポンに比べ、対象顧客の明
確化、タイムリーな割引対象商品の決定、デリバリスピードの
向上、印刷コストの削減が可能となった。
さらに、接客のスピードアップは、売上貢献が大きい。
②個客ニーズの顕在化
携帯電話の本人性、常時性、ネットワーク性を利用することに
よって、顧客が何を欲しがっているかを把握するコストが飛躍的
に低下した。
(例)クックパッドのハイパーコミュニティ
レシピを公開・共有することで、日々の献立に役立てる。
(月額294円)だけでなく、メーカにも情報を公開。
モバイル・タブレット活用により、より現場で近い情報や
写真がアップされるようになった。
③商品・サービスのマイクロ化
携帯の本人性、常時性、ネットワーク性により、モノやサービス
を販売する固定費、流通費が縮小され、その結果、商品・サービス
を小分けして提供することが可能となった。消費者が欲する最適な
単位でモノを売ることができる。
(例)保険業界のマイクロ化商品「ドコモワンタイム保険」
ゴルフや海外旅行時にその前に入会する。
GPS機能により、ゴルフ場のクラブハウスに近づくと
案内メールが送られてくる。また支払いは、ケータイの
毎月の請求と一緒に落とされる。
東京海上日動火災保険の家中副社長(当時)によると、
少額の保険は手続きの面、保険料徴収の麺から難しかったが、
携帯からの申し込み、携帯電話料金と一緒に保険料を徴収と
いうことによりその問題を解決できたとのこと。
④商品・サービス提供の適時化
携帯電話の本人性、常時性、位置の特定性により、サービス提供者
が提供する商品・サービスに関する情報提供コストが下がり、タイ
ミングに対する自由度が大幅に向上した。商品・サービスの訴求を
最適なタイミングで実施し、そのまま購買につなげることが可能と
なる。
(例)iコンシェル、ローソンのデジタルサイネージ
「今割引をしています」「いまパンが焼きあがりました」、
「今なら席が空いています」というような「旬な情報を旬な
タイミングで提供」
ローソンの新浪社長によると、クーポンの活用や店舗のメデイア
化で携帯電話が、CRMのツールになると言う。コンビニが店舗
で売るものは、将来的に、携帯で買えないもの、生鮮食料品に
なっていくという。
イオンマーケッテイングの小賀社長によると、携帯を利用して
ワントーワンのCRMを実現していき、ネットビジネスへの展開
も計画しているとのこと。
⑤商品・サービス提供チャネルのポータブル化
決済や送金などの購入プロセスをモバイルでできる(ユビキタス)
ようになった。
(例)モバイルSUICA
SUICAの基本機能である自動改札のタッチ&ゴーやショッ
ピング機能に加えて、新幹線のチケットレスサービスが使える。
利用履歴の参照も可能。
ANAのスキップサービスでは、携帯から予約するとチエック
インカウンタに並ぶことなく、リーダライターにケータイを
タッチするだけで、チエックインが完了する。
みずほ銀行との協業による「ドコモケータイ送金」がある。
ドコモのユーザ同士であれば携帯電話の番号で送金が可能と
なる。送った金額は送金者の携帯料金と一緒に請求される。
受け取る側は、銀行口座に振り込むか、携帯料金に充当
するか選択することができる。
JR東日本の椎橋副本部長によると、SUICA利用の拡大
により、自動改札機のメンテナンスコストの削減をはじめと
した効果は増大している。
モバイルSUICAにより、表示機能とチャージ、定期券購入
が可能となり、さらにGPSと連動して位置情報を把握し、
降車駅の改札を出たら、周辺の飲食店情報やおすすめ情報を
携帯へ送る「SUICAマーケッテイング」も可能になると
言う。
みずほ銀行の斉藤常務によると、携帯は、店舗窓口、ATM、
インターネットバンキングと並ぶ「第四のチャネル」と位置
付けられるとのこと。
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